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自筆証書遺言の書き方と書式例 無効にならないように注意することとは

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費用や他者への依頼の手間がかからず、いつでもどこでも1人で作成することが出来る「自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)」ですが、必要な書式を護らなかった場合せっかくの遺言内容が認められず無効となってしまいます。相続人同士の無駄な争いを軽減させるためにも自筆証書遺言を作成する場合に注意することを見てみましょう。

自筆証書遺言とは

「自筆証書遺言」とは、普通方式遺言の種類の1つです。
この他に「公正証書遺言」と「秘密証書遺言」というものがあります。

【関連】遺言書の種類と作成方法 メリット・デメリット比較

遺言者自身が自筆で書き作成(PCやワープロの使用は認められていません)します。他の遺言書の作成と異なり証人が不要で遺言者本人が1人で作成できるため費用や依頼の手間がかからないことがメリットとなっています。
しかしその反面、自筆証書遺言は決められたルールを守らずに作成した場合には、せっかくですが、その遺言書の有効性は認められず無効となってしまうことがあるので注意が必要です。

自筆証書遺言の基本的な書き方のルール

自筆証書遺言の作成には、民法で定められた書き方のルールがあります。
自筆証書の作成で最低限守らなければいけない書き方のルールを見てみましょう。

パソコンで作ってもいいの?

全て本人の手書きで書かなければいけない

自筆証書遺言では、全てを遺言者本人の自筆(手書き)で書くことが基本ルールです。
パソコンやワープロを使用した場合には無効となってしまします。

また一部でも本人以外による代筆は認めらていません。配偶者による代筆であっても例外なく無効となってしまいます。
病気になってしまい自筆による作成が困難となることも想定されるので、体力がある元気なうちに作成しておくようにしましょう。

録音や録画での遺言は無効

スマートフォンの普及により動画の撮影が一般的になっていますが、遺言書の作成においては録音や録画によるものは無効です。
自筆で書かなければなりません。

遺言できるのは意思表示能力のある15歳以上

遺言することが出来るのは意思表示能力のある15歳以上と定められています。
認知症が進んでしまうと、意思能力や判断能力の点で欠けるため遺言書を作成することができなくなります。

特に注意!作成時に必要な項目・要素

用紙は自由、文字は消えないように

自筆証書遺言書の作成では、便箋を使用して書かれるのが一般的ですが、レポート用紙に書いても問題はありません。
遺言書の内容が消えてしまうことが無いように鉛筆は使用せずにボールペンなど文字が消えないものを使って書きましょう。

縦書きと横書きのどちらでも可

遺言書の書き方は縦書きと横書きのどちらの書き方でも構いません。

作成年月日は具体的に

遺言書を作成した年月日記載されていない場合無効となってしまします。忘れないように必ず記載してください。
「吉日」などのような記載は日付の特定が出来ないため無効となってしまうので注意してください。
必ず「平成●●年●●月●●日」と正確に記載してください。

署名と実印を忘れずに

署名に本名をフルネームで記載してください。併せて押印も忘れずに行ってください。
押印に使用する印鑑は、実印が好ましいとされていますが認印であっても有効です。

遺言内容は分かりやすく具体的に書くように

遺言書の内容には、財産を残していくものとしてその意思を明確に書き記しておくことがとても重要です。
特に法定相続人以外の人間に遺産を分けたい場合や、法定相続分と異なる割合での相続を行う場合などは特に全ての相続人が相続内容を受け入れられるように「付言事項(ふげんじこう)」としてその理由を明記しておくようにすることも大切です。

「誰に」「何を」相続させるのかを明記

しっかりと誰に何を相続させるのかを、全ての相続人が遺言内容を見た時に混乱や解釈の違いが生じないように「誰に」「何を」相続させるのか正確に明記するようにしてください。
「長男 山田一郎にA銀行●●支店の口座番号■■■■■■■の預金額の2分の1相続させる」などとします。具体的な量を示す「2分の1」の箇所を漠然とした表現の「多め」等とすると解釈の違いが生じるため余計な争いが生じてしまう可能性があります。

所有する財産を漏れが無いように確認

そもそも遺言書を作成するにあたって、遺言者が所有する財産を全て確認し漏れが無いようにしましょう。
遺言者の死後に遺言書に記載されていない財産が見つかった場合や、逆に記載されている財産が無くなっていたなどという場合には相続人に迷惑をかけてしまいます。
必ず遺言書の作成を行う前に自分の財産の内容を確認し把握するため「財産目録」を作成しておくと良いでしょう。

自筆証書遺言の書き方例

自筆証書遺言には厳密な様式はありませんが、ある程度一般化されたフォーマットがあるのでそれに則って作成すると間違いも起こりにくいです。

  • ①表題は記載は必須ではありませんが、遺言書であることを明確にするためには記載しておくのが良いでしょう。
  • ②遺言によって財産を渡す人(遺言者)の氏名を明記する。
  • ③相続人の指定は戸籍に記載されたとおりに氏名を正しく書くようにしましょう。
  • ④財産を渡すことは「相続させる」と明記します。「譲る」「引き継ぐ」「渡す」などの表現は曖昧なため避けるように注意。
  • ⑤不動産の場合は、物件の特定ができるように土地と建物を分けて記載するようにします。内容は登記簿謄本に記載されている通りの内容を書く必要があるので、事前に登記簿を用意しておきましょう。
  • ⑥金融機関の預貯金を相続させる場合は、明確にするために口座番号も書くようにする。
  • ⑦この遺言内容を誰にとりおこなってもらう人の氏名を明記する。
  • ⑧付言事項では法的効力はありませんが、自分の気持ちを伝えるメッセージを書いておきます。相続人以外の人間にも相続するような場合などもその理由を書いておくことで他の相続人を納得させる効果があります。
  • ⑨遺言書の作成年月日を正確に記載する。「吉日」などの表記は無効となるので注意。
  • ⑩署名と押印をする。印鑑は認印でも有効だが、実印が望ましい。

作成した遺言書は、封筒に入れなければいけないという決まりはありませんが、改造や改ざんを防止するためにも封筒に入れて封印をしておきましょう。

なお、遺言書は遺言者自らが破棄したり、新しい遺言書を作成することで何度でも前に作成した遺言の内容を撤回することが可能です。
遺言書の内容を訂正する場合は、訂正箇所に二重線を惹いて押印し、横に訂正内容を記し、欄外に訂正理由を明記し署名することで訂正は可能。
書き損じの場合には、書き直した方が良いでしょう。

自筆証書遺言のメリットとデメリット

最後に自筆証書遺言の主なメリットとデメリットを確認しましょう。

自筆証書遺言のメリット

  • 作成費用がかからない。よって遺言内容を書き直しても費用はかからない。
  • 遺言書自体の存在や内容を誰にも秘密にしておくことが出来る。
  • いつでも、どこでも作成ができる

自筆証書遺言のデメリット

形式の不備がある場合無効になる恐れがある

紛失・遺言書の存在に気づかれない恐れがある

偽造・変造がされていないことを確認するための検認が必要

 

自筆証書遺言の作成は費用が掛からず自分一人で気軽に作成できるメリットがありますが、せっかく書いた遺言書が不備により無効となる恐れがあります。
遺言書が無効となった場合、相続人に迷惑をかけてしまう可能性もあるので、遺言書の作成を行う場合は専門家によるアドバイスを受けることをお勧めします。

 

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